「股関節が痛いのに、原因がよく分からない」更年期の女性にみられるケース

「最近、股関節のあたりが痛い」
「歩くと股関節が痛むけれど、筋肉を押してもそれほど痛くない」
「整形外科で検査を受けても、大きな異常はないと言われた」
このような股関節周辺の痛みを訴えて来院される、40~50代以降の女性がいます。
愛幸堂たか整骨院でも、三条市や新潟市東区で更年期の時期に入り、股関節や腰、膝などの体の痛みを気にされる方からご相談をいただくことがあります。
もちろん、股関節の痛みには変形性股関節症や腱・滑液包の障害、腰椎からの関連痛など、さまざまな原因があります。そのため、まずはこれらの病気や外傷などを考えることが大切です。
一方で、検査で大きな異常が見つからないにもかかわらず、痛みが続くケースもあります。
更年期の女性にみられる筋肉・関節周辺の痛みには、女性ホルモンであるエストロゲンの変化が関係している可能性があります。ただし、「更年期だから股関節が痛い」と単純に決めつけることはできません。
今回のケース:50代女性、原因がはっきりしない股関節痛
今回紹介するのは、50代女性を想定したケースです。
主な訴えは「数週間前から股関節周辺が痛くなり、歩くと気になる」というものでした。
明らかな転倒やぶつけたなどの外傷はなく、以前から腰や股関節周辺に強い症状があったわけでもありません。
また、ちょうど更年期の時期に入り、以前と比べて疲れやすい、睡眠が浅い、体のあちこちが痛く感じることがある、といった変化もありました。
まずは股関節だけを確認しない
股関節周辺の痛みがある場合でも、必ずしも股関節そのものが原因とは限りません。
そのため、股関節の動きだけでなく、腰椎、骨盤、殿部、大腿部なども含めて状態を確認します。
| 確認する部位 | 確認するポイント |
|---|---|
| 股関節 | 可動域、荷重時の痛み、鼠径部の痛みなど |
| 腰椎 | 腰の動き、神経症状、股関節への関連痛など |
| 殿部 | 中殿筋などの緊張や圧痛、動作時の状態 |
| 大腿部 | 筋緊張や動作時の負担 |
今回のように、明らかな外傷がなく、強い可動域制限や神経症状などもみられない場合には、筋肉や関節だけで痛みを説明することが難しいケースがあります。
なぜ更年期に「原因が分かりにくい痛み」が出るのか
更年期には、女性ホルモンであるエストロゲンが大きく変動し、その後低下していきます。
エストロゲンは女性の生殖機能だけに関係するホルモンではありません。骨や筋肉、関節などの運動器だけでなく、炎症反応や神経系における痛みの調節にも関係しています。
そのため、更年期には筋肉痛や関節痛などの筋骨格系症状が増えることが報告されています。
ただし、これは「エストロゲンが減少したから股関節の組織が壊れて痛む」という単純な仕組みではありません。
「検査で大きな異常がない=痛みは気のせい」ということではありません。痛みは組織の状態だけではなく、神経系による痛みの処理や睡眠、疲労、活動量など、さまざまな要因の影響を受けます。
痛みを感じる仕組みそのものが変化することも
痛みは、単純に「傷ついた組織の量=痛みの強さ」という関係ではありません。
体の組織から入ってきた刺激は、神経を通って脳へ伝わり、その情報をもとに私たちは「痛い」と感じます。
この痛みを調節する仕組みが変化すると、以前なら気にならなかった程度の刺激でも、痛みとして感じやすくなることがあります。
更年期にみられる筋骨格系の痛みには、このような疼痛感受性の変化が関係している可能性も考えられています。
そのため、筋肉を触っても強い異常がなく、画像検査でも大きな問題が見つからないのに、「痛い」という症状が存在することがあります。
整骨院ではどのように対応するのか
このようなケースでは、「痛い場所を強く揉めばよい」と考えるのではなく、現在の状態を確認しながら、痛みを悪化させない範囲で体を動かしていくことを重視します。
① 股関節周辺だけでなく全体を確認
股関節、腰、骨盤、殿部、大腿部などの状態を確認し、どの動作で痛みが出るのかを確認します。
② 必要に応じて手技を行う
殿部や大腿部などに筋肉の緊張がみられる場合には、状態に合わせて手技を行います。
ここで重要なのは、強い刺激を加えることではありません。
痛みが強い場合には、刺激量を抑えながら、体を動かしやすい状態をつくることを目指します。
③ 無理のない範囲で運動する
痛みがあるからといって、長期間まったく動かさないことが必ずしもよいとは限りません。
症状に合わせて、股関節周囲の軽い運動や、殿部・大腿部の筋力トレーニングなどを取り入れることがあります。
例えば、ブリッジや椅子からの立ち上がりなど、日常生活に近い運動から始める方法があります。
④ 睡眠や疲労についても確認する
更年期では、ほてりや発汗、睡眠の変化などがみられることがあります。
睡眠不足や疲労は痛みの感じ方にも影響するため、股関節だけを見るのではなく、最近の睡眠状態や日常生活についてお話を伺うこともあります。
ご自宅で気をつけていただきたいこと
施術を受けることだけでなく、日常生活の過ごし方も大切です。
① 痛いからといって、完全に動かなくならない
股関節が痛くなると、「動かしたら悪化するのではないか」と心配になり、できるだけ動かさないようにする方もいます。
しかし、明らかな外傷や医師からの安静指示がない場合は、痛みを悪化させない範囲で日常生活を続けることが大切です。
例えば、いきなり長時間歩くのではなく、短い時間の散歩から始めるなど、自分の状態に合わせて活動量を調整してみましょう。
② 「痛いのを我慢してストレッチ」はしない
股関節が硬いから痛いと思い、強いストレッチを頑張ってしまう方もいます。
しかし、痛みが強くなるほど無理に伸ばす必要はありません。
「気持ちよく動かせる」「終わった後に痛みが増えていない」という程度から始めることをおすすめします。
③ 痛みが増えた日は、活動量を少し調整する
歩く時間を短くする、階段を減らす、長時間の外出を控えるなど、その日の状態に合わせて活動量を調整します。
痛みの変化を見ながら少しずつ活動量を戻していくことがポイントです。
④ 長時間同じ姿勢を続けない
デスクワークやテレビを見る時間など、長時間同じ姿勢が続く場合は、時々立ち上がって体を動かしましょう。
⑤ 睡眠時間を確保する
更年期には睡眠の質が変化することがあります。
睡眠と痛みは相互に影響するため、股関節だけを気にするのではなく、睡眠時間を確保することも大切です。
⑥ 「痛みの強さ」だけで、その日の状態を判断しない
痛みは日によって変動することがあります。
「昨日より痛いから悪くなった」とは限りません。
歩ける距離、階段の上り下り、立ち上がり、家事など、以前できなかった動作が少しずつできるようになっているかも確認してみましょう。
「動かない」でも「痛みを我慢して頑張る」でもなく、痛みが大きく増えない範囲で、できることを少しずつ続けることを意識しましょう。
痛みがあるからといって、すぐに「更年期」とは考えません
40~50代の女性に股関節痛があるからといって、更年期による症状だと決めつけることはできません。
変形性股関節症、大腿骨頭壊死、腱や滑液包の障害、腰椎由来の症状など、別の病気が隠れている可能性もあります。
特に、強い安静時痛や夜間痛、発熱、急激な悪化、外傷後の強い痛み、歩行が難しいほどの症状、しびれや筋力低下などがある場合には、整形外科などの医療機関での確認が必要です。
愛幸堂たか整骨院では、三条市・新潟市東区で股関節周辺の痛みにお悩みの方に対しても、最初から「筋肉が原因」と決めつけることはありません。症状や動作を確認し、整骨院で対応できる範囲なのか、医療機関での検査が必要なのかを考えながら対応します。
まとめ|更年期の股関節痛は「痛みの場所」だけを見ることが大切ではありません
更年期の女性にみられる股関節周辺の痛みには、股関節そのものの問題だけでなく、ホルモン環境の変化に伴う疼痛感受性の変化や、睡眠・疲労・活動量など、複数の要因が関係している可能性があります。
そのため、原因がはっきりしない場合でも「どこが悪いのか」を無理に一つに決めるのではなく、体全体の状態を確認することが重要です。
三条市・新潟市東区で「股関節が痛いけれど、原因がよく分からない」「更年期になってから体のあちこちが痛む」とお悩みの方は、一度ご相談ください。
愛幸堂たか整骨院では、症状を確認したうえで、手技や運動など、その方の状態に合わせた施術をご提案しています。
参考文献
- Overton R, et al. The effect of hormone replacement therapy on musculoskeletal pain in menopausal women: A systematic review and meta-analysis. Post Reproductive Health. 2026.
- Martins JBB, et al. Do Physical Exercises and Physical Activity Generate Positive Effects on Sleep Quality and Urinary Incontinence in Menopausal Women? A Systematic Review with Meta-Analysis. Journal of Menopausal Medicine. 2026.
- Harrison M, et al. Musculoskeletal pain and menopause: a systematic review and meta-analysis. 2025.